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2017年2月 2日 (木)

父のマカロニサラダ

 父はマカロニサラダが好きだった。茹でたマカロニに塩もみしたキュウリと玉ねぎ、そしてハムなんかを混ぜてたっぷりのマヨネーズと和える っていういたってシンプルなやつ。それを休日の夕方に父は自分でボールいっぱい作っては毎日の晩酌の供にするのが定番だった。
小さかった私はもっぱらそんな父の隣にちょこんと座って、そのマカロニサラダをつつくのが好きだった。自分の皿に盛り付けてもらうよりも、そっちのほうがずっと美味しく感じた。
 そんなマカロニサラダは、次の日になるとすっかり水分を吸ってしまってパサパサになって、父はさらにそこにマヨネーズを足すのだった。それを母からよく叱られていたのをこどもながらに見ていて、そういうこともぜんぶ含めて父のマカロニサラダは私の思い出の味になっている。
 今もときどきむしょうに食べたくなって、安っぽいマカロニを買ってきて作ってみる。いいマカロニで作るとやっぱりどこか違ってくる。一袋100円くらいで売ってるやつがちょうどいい。
そして父の作る工程そのままを再現してみる。マカロニはちょっと茹ですぎくらいがちょうどいい。
 出来上がったマカロニサラダは、父のよりもちょっときれいに仕上がっている。野菜の切り方とかマヨネーズの量とか、たぶん私のほうがいろいろ考えられて作ってあるからだ。
でもそれがちょっと寂しくも思える。父のあのマヨネーズたっぷりのマカロニサラダはもう二度と食べれないっていう現実を、まだどこかで受けいれきれていない自分がいるからなのかな。
 でも、この目の前のマカロニサラダの中にちゃんと父との思い出があったことを確認できただけで、もしかしたらじゅうぶんなのかもしれないな。食べ物と思い出は切っても切れないもので、私はこのマカロニサラダを食べるたびに父のあの味を思い出せるのだもの。
思い出の中に父はちゃんと生きていることを、このマカロニサラダが教えてくれた。

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