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2016年12月 8日 (木)

小さなたからもの

人生のある時期から、人前に出るのが苦手になった。そもそも自分みたいなのが人さまの前に出ること自体、許されることではないと思った。そのうち、人と喋ることさえもできなくなっていった。強がるわけではなく、気持ちのどこかでは生涯孤独と決めているところがあった。そしてそれは仕方がないといういうか、当然のことだと思った。

 気づけば12月。今年はいろいろあった。さまざまな出来事を通して、自分自身の中身が変化していく過程をリアルに感じる1年だった。
 先週末、実はタブラオでフラメンコを躍る機会をいただいた。これって、今年のビックニュース3位以内には入ると思う。それくらい私にとっては大きな出来事だった。お客さんの前でソロで躍らせてもらうなんて初めてのことだもの。
実はこのお話しをいただいたとき、ちょうど父が倒れたときで私は実家でその話を聴いた。まっさきに思ったのは、人前で何かをするなんて今の私にはできない、ってことだった。父のことでも気持ちがいっぱいだったし。ここはお断りしようとすぐさま師匠に連絡を入れた。すると師匠から「こんなチャンスはめったにないことよ!」という返事がきて、もうそこまで言われちゃったらやるしかないな~などと、そのときはまだ見えてこない先のことをぼんやりと想像する程度だった。こういうところは結構のんきな自分だったりする。
でも、日にちが近づいてくるたびにあせってきた。どうしよう~と、今までに経験したことのない不安が襲ってきた。もう逃げられないと思ったら、ますますこわくなった。人前で話しもできない自分がそんなことできるわけないじゃん、って思った。

 でもそれでもなんとか、先日その日を終えることができた。当日はあっという間に終わってしまったけれど、この日を迎えるまえでの自分自身の変化が何よりの収穫になったと思う。その過程には父の死もあって、そのことも自分にとっては大きかった。そしてなにより、今の自分を表現してもいいんだと小さく思える瞬間を味わえたことは大きな一歩だった気がする。踊りが終わってしまったら、いつもの自分に戻っちゃったけれど、あの短い時間の中で味わった感触は今でも覚えてる。この宝物、大事に温めていこう。 

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