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2016年10月19日 (水)

 父が死んで、自分がどれだけ“お父さんっ子”だったかわかった。
小さい頃から両親は共働きで親が家にいないっていうのがあたりまえだった。でも唯一週末だけは父が家にいてくれた。
父は家事全般ができる人で、母の代わりに掃除や洗濯、料理もできる人だった。正直、私は結婚するまで男の人ってみんな父のようになんでもできると思ってたくらいだ。

 そんな父との週末の楽しみは、一緒に買い物に行くことだった。昔はスーパーなんてなかったから、魚屋みたいな八百屋みたいななんでも屋さんみたいな店があって、そこに父と手を繋いで行くのが日曜日のお決まりだった。買うのは決まってマグロの刺身だったことも。
 おしゃべりが好きな父は、買い物に行く先々でも必ずお店の人と世間話をする人だった。正反対な母は、そんな父をしゃべりすぎるとなじっていたけれど、今思うと私は父みたいなほうが好きだ。
そんな週末の父とのデートも中学生くらいまで続いたと思う。ある日父と手を繋いで歩いていたら、クラスの男の子に会って次の日に茶化されたことがあった。その頃からだんだんと父との距離を置くようになったと思う。それくらいお父さんっ子だった。
平日はいつもひとりでいたから、私にとって父という存在は、母や親友のようなものだったのかも知れない。世界でいちばん自分を理解してくれる人だと思ってた。

 そんな昔話が、今になって鮮明に思い出されるのだ。
ほんとうは、もっと一個一個ちゃぁんと感じなきゃいけないのかもしれないけれど、今はなぞるだけにしておこうと思う。日常の中でじんわりじんわりくるものを、これからゆっくりと味わっていこうと思う。父がのこしてくれたものだから。

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