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2016年10月20日 (木)

 父のお葬式のとき、10年ぶりくらいに弟に会った。
そもそも弟とまともに会ったのは、中学のとき以来、数えられるくらいしかないと思う。当時、勉強熱心だった弟は、学校から帰ってくるとそのまま2階の自分の部屋に閉じこもって出てこなかった。思春期ということもあっただろうし、会話もほとんどなかったように思う。気づけば、私も弟も結婚して(私は離婚しましたが)それぞれに実家を出てしまったので、私の記憶の中にある弟は、幼い頃家の茶箪笥の前でプロレスごっこをしたことくらいしかおぼえていないのだ。
ひとつ違いの姉弟であるのに、弟という人間がどんなやつなのか正直今でもわからない。まぁ、うちの家族はちょっと特殊だったのかもしれないけれど。家族ってなんだろうっていう疑問以前に、私にとっては兄弟ってなんなんだろうというクエスチョンマークのほうが大きいかも知れない。
 そんな弟は両親にとっては自慢の息子だった。もちろんそれは今でも。
ずっと社会のエリートとして第一線にいる彼は、もうそれだけで十分親孝行をしていると思う。一方姉の私はというと、彼とは正反対のおちこぼれ人生できている。この間のお葬式のときも、久しぶりに会った親戚に、母は弟の話はしても私の話はいっさいしなかった。話の流れ的に私の話題に触れそうになるとさりげなく話をそらしていたのを、私は気づいていた。母なりの配慮だと思う。
そんなこんなで、姉が親孝行できなかったぶん、姉がダメダメなぶん、弟がしっかりとやってくれているので、やはり彼はすごいやつなんだろう。

 お通夜の晩、その日は実家に泊まることにした。弟も一緒だった。
コンビニでワインをしこたま買い込み、10年ぶりに一緒に呑んだ。テレビではくだらないバラエティー番組をやっていて、お通夜の余韻にはふさわしくなかったけれど、久しぶりに会う弟と酒を交わすには逆にちょうどよかった。
何をしゃべったかまったく覚えていないけれど、なんだか懐かしかった。私の中の弟像はもう思い出せないくらい遠い記憶の彼方に行っちゃったと思ってたけれど、酔っ払ってどうでもいい話をしていたら、はるか昔プロレスごっこしてたときの弟の温度を思い出した。

 兄弟って、こういうことか。

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