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2011年3月22日 (火)

優しさのベール

風が強かった日。窓をたたきつける音はまるで自然界からの声みたい。ときに激しくおどろおどろしいそのさまは、人間界への強いメッセージのようにも聴こえた。

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夕方、かなり久しぶりのお友達からの電話があった。

私がここにお店を開く直前までバイトしていたところで たまたま意気投合して仲良くなった掃除のおばちゃんからだった。

私があそこを辞めても、この仲は続いている。

 「あんたには毒だってなんだって吐けるわよ。わっはっは」

とおばちゃんは高笑いしながらそう言う。

けど、あえて電話をしてきたのには理由があるんだろうな、なんて思いながら話を聴いてたのはたしか。

 「あたしさ、仕事先の若い子に悪いこと言っちゃったの。あたしが悪いの。。。」

いきなりそう言い出したおばちゃんは、きゅうに小さくなっちゃったみたいだった。声にも力がなくて、今にもしおれちゃいそうだった。

そんな声を聴いていたら、「今はとにかくおばちゃんの味方してあげよう」と思ったのだった。「おばちゃんは悪くない」というようなことを何度も言おうと思った。

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何十年も連れ添ってきた旦那さんを数年前に亡くしてからというもの、おばちゃんは一人暮らしになった。生前はすごく仲のよかった夫婦だったということは、おばちゃんの話の感じでわかる。

小さくなったおばちゃんが、旦那さんのお仏壇に手を合わせる様子とか、いつもひとりで早めの晩ご飯を食べてることとか、近所の年寄り仲間がときどきコーヒーに誘ってくれてることとか、、、

そういうおばちゃんの背景が見えたときに、ただ受話器を持っているだけの自分なんだけど何かしてあげたくなった。それが味方になるということだったのだ。

1時間ほどおしゃべりして、話の内容もいろんな方向に行き来したりしたけど、結局最後におばちゃんが言ったことは

 「やっぱりあたしが悪かったんだわぁ」

だった。

だけどその声の感じは、最初のとは全然違っていて力強さと明るさを含んでた。

「甘えちゃってごめんね・・・じゅんちゃん・・・」

って「またね」の前に言ってくれたおばちゃんの言葉に思わず泣いてしまった。

毎日誰よりも元気にたくましく働くおばちゃんの中には、実は寂しさとかそういう柔いものがいっぱい詰まっていたのかなと思うと、胸が痛かった。

けど私は

 「まったくぅー、こまったおばちゃんだなー、しょうがないなー。」

とかいつもの調子で言いながら「またいつでも電話してよ」と付け加えた。

受話器を置いたあと、しばらくぼぅっとしてしまって何も手につかなかったけど、だんだんと温かい何かに包まれてくような感覚があった。

それはまぎれもなく、おばちゃんがくれた優しさのベールだった。それに包んでもらったのは実は自分のほうだったということに気づいた瞬間だった。。。

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